上越市の2025年国勢調査を年齢と世帯で読む。子どもは人口の約3倍の速さで減っていた
2026年9月29日、総務省が2025年国勢調査の確定値を発表しました。上越市の人口は176,481人で、5年前より11,566人少ない。18万人を割り込み、合併した13区では減少率が10%を超えた、と地元でも報じられています。
ここまでは、ニュースで読めます。ただ、商売をしている側が本当に知りたいのはその先ではないでしょうか。誰が減ったのか。世帯はどうなったのか。政府統計の窓口(e-Stat)から元の表を取り寄せて、年齢と世帯まで分けて読んでみました。総人口の数字だけでは見えない動きが、3つ出てきます。
総人口の数字だけでは、3つの変化が見えない
結論から言うと、上越市のこの5年は「人口が6%減った」の一言では片づきません。子どもは人口全体の約3倍の速さで減り、高齢者の数はわずかに減り始め、世帯の数はむしろ増えました。

項目 | 2020年 | 2025年 | 5年間の変化 |
|---|---|---|---|
総人口 | 188,047人 | 176,481人 | −6.2% |
15歳未満 | 22,044人 | 18,337人 | −16.8% |
65歳以上 | 61,460人 | 60,819人 | −1.0% |
世帯数 | 72,850世帯 | 73,193世帯 | +0.5% |
1世帯あたり人員 | 2.58人 | 2.41人 | −0.17人 |
一つずつ見ていきます。
子どもは、人口全体の約3倍の速さで減っている
上越市の15歳未満は、5年で22,044人から18,337人へ。3,707人、16.8%の減少です。総人口の減少率6.2%と比べると、ほぼ3倍の速さ。人口に占める割合も11.9%から10.5%に下がりました。
地域で見ると、差はもっと大きくなります。合併前の上越市(高田・直江津・春日など15区)は13.9%減。一方で、合併した13区の合計は25.1%減でした。13区の子どもは、5年で4人に1人がいなくなった計算です。安塚区は111人から65人へ、板倉区は684人から433人へ減っています。
子ども向けの商売をしている人にとって、これは「市場が毎年3%以上縮む」という話です。学習塾、習い事、子ども服、子ども向けの遊び場。どれも母数そのものが、人口の減り方よりずっと速く小さくなっています。
高齢者の「数」は、わずかに減り始めた
見落とされやすいのがここです。上越市の65歳以上は、5年で61,460人から60,819人へ、わずかに減りました(−1.0%)。高齢化率は33.1%から34.9%に上がっています。割合は上がっているのに、人数は減っている。ここがポイントです。
新潟県内の20市で見ても、65歳以上の人数がこの5年で増えたのは新潟市(+0.3%)だけでした。残る19市は、すべて減っています。地方の高齢者市場は、「伸びる市場」から「縮み始めた市場」に入りつつある、と私は見ています。
上越の中でも差があります。安塚区・大島区・牧区では、65歳以上が5年で1割以上減りました。一方、頸城区(+4.3%)と大潟区(+1.7%)では、まだ増えています。高齢者向けのサービスを考えるなら、「上越は高齢化が進んでいる」とひとまとめにせず、地域ごとに人数の増減を見る必要があります。
人口は減ったのに、世帯は増えた
3つ目。人口が11,566人減ったのに、世帯の数は72,850から73,193へ、343世帯増えました。1世帯あたりの人数は2.58人から2.41人に縮んでいます。一人暮らしや夫婦だけの世帯が増え、大家族が減った結果です。
これは、住まい・家電・食品・保険など、世帯単位で買う商売には大事な数字です。人口で市場を測ると「縮んでいる」と出ますが、世帯で測ると「数は横ばい、1世帯の大きさが小さくなった」と出ます。売るべき量や大きさが変わる、ということです。
ただし、これも地域で分かれます。世帯が増えたのは合併前の上越市(+1.9%)と、頸城区(+6.3%)・大潟区(+1.3%)だけ。残る11区は、世帯の数も減っています。安塚区は5年で17.0%減でした。
減り方は「中心部と周辺」の二重構造
ここまでの話を地域ごとに並べると、上越市は二つの速さで動いていることが分かります。合併前の上越市は4.1%減、合併した13区は10.8%減。13区のうち、頸城区(4.3%減)と大潟区(5.2%減)は市の中心部に近い動きで、ほかの11区は1割以上減っています。

頸城区と大潟区は、子どもの減り方も12.9%と、合併前の上越市(13.9%減)に近い水準です。直江津に近く、住宅地として人を受け止めている地域だと読めます。
県内で見ると、上越は「平均的に減っている」
新潟県全体の人口減少率は6.09%で、上越市の6.15%とほぼ同じでした。県内20市のうち、減少率が小さい方から数えて5番目。新潟市(3.82%減)、燕市(4.53%減)、新発田市(5.64%減)、長岡市(5.94%減)に次ぐ位置です。世帯数の伸び(+0.47%)は20市中7番目でした。
上越だけが特別に厳しいわけではなく、特別に恵まれているわけでもない。県全体と同じ速さで縮んでいる街、というのが正確なところだと思います。
正直に書いておくと、ハイデフは2025年1月の記事で「上越市の人口は2030年までに17万人台に減る」と書きました。実際には、2025年の時点ですでに17万6千人台です。予測より早く進んでいる。人口の話は、5年ごとの国勢調査を待たずに、数字を取りにいく価値があります。
市場の大きさは、総人口ではなく「年齢」と「世帯」で測る
ここから先は、商売をしている側の話です。
私たちは、商業施設に新しいお店を誘致する資料をつくるとき、商圏の人口を「半径何kmに何人」で終わらせないようにしています。たとえば子ども向けの施設を誘致するなら、0〜14歳が何人いるかを地域ごとに集計します。今回の国勢調査は、その数字の土台にあたります。総人口だけを見ていると、子ども向けの市場が毎年3%以上縮んでいることにも、世帯が増えていることにも気づけません。
見方を変えると、使う数字はこう変わります。
商売の種類 | 見るべき数字 | 上越市の5年間の変化 |
|---|---|---|
子ども・子育て向け | 15歳未満の人数 | −16.8% |
高齢者向け | 65歳以上の人数(地域ごと) | −1.0%(頸城・大潟は増加) |
住まい・食品・家電など世帯単位 | 世帯数と1世帯あたり人員 | 世帯+0.5%、人員2.58→2.41人 |
地域を絞った出店 | 旧市町村ごとの増減 | 合併前の上越市−4.1%、13区−10.8% |
もう一つ。今回の数字は、すべて政府統計の窓口(e-Stat)から元の表を取って計算しました。報道の要約は便利ですが、年齢や世帯までは載りません。元の表に当たれば、地方の小さな会社でも、ニュースより一段細かい市場の地図が手に入ります。いまはAIに手伝わせれば、取得から集計まで1日もかかりません。
人が減る地域で、人口の総数を見て「縮んでいるからしかたない」と言っていると、伸びている小さな市場を見落とします。世帯が増えた地域、子どもの減り方がゆるやかな地域、高齢者がまだ増えている地域。上越の中にも、数字で見ればはっきり違う場所があります。そこに先に手を打つ会社と、5年後の国勢調査で気づく会社。差がつくのは、たぶんそこです…
よくある質問
上越市の2025年国勢調査の人口と世帯数は?
人口176,481人、世帯数73,193世帯です(2025年10月1日時点・確定値)。2020年と比べて人口は11,566人(6.2%)減り、世帯数は343世帯(0.5%)増えました。
上越市の子どもの数はどれくらい減った?
15歳未満は2020年の22,044人から2025年の18,337人へ、3,707人(16.8%)減りました。人口に占める割合は11.9%から10.5%に下がっています。合併した13区の合計では25.1%減でした。
上越市の高齢化率は? 高齢者は増えている?
65歳以上の割合(高齢化率)は34.9%で、2020年の33.1%から上がりました。ただし65歳以上の人数は61,460人から60,819人へ1.0%減っています。割合は上がっているのに、人数はわずかに減り始めた状態です。
上越市で人口の減り方が大きい地域・小さい地域は?
減り方が大きいのは安塚区(19.5%減)、牧区(18.4%減)、大島区(16.8%減)です。小さいのは合併前の上越市(4.1%減)、頸城区(4.3%減)、大潟区(5.2%減)で、この3地域だけは世帯数が増えています。
この記事の数字について
総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」(2026年9月29日公表)と「令和2年国勢調査 人口等基本集計」を、政府統計の総合窓口(e-Stat)から元の表のまま取得して集計しました。使った統計表は、男女別人口・人口増減(統計表ID 0004065882)、世帯数(0004065901)、年齢5歳階級別人口(2025年:0004065920、2020年:0003445162)です。地域区分は国勢調査の「2000年時点の旧市町村」を使っており、「合併前の上越市」は高田・直江津・春日など15区の合計、13区はそれぞれ旧町村に対応します。2020年の人口・世帯数は、総務省が2025年の市域に合わせて組み替えた値です。年齢の割合は年齢「不詳」(2025年:2,428人、2020年:2,229人)を除いて計算しています。